近年、採用市場は大きく変化しています。昔は「高待遇（安定した給料・休日が多い）」「大企業」などが求職者の注目を集めるポイントでしたが、今はそれだけでは不十分です。特に地方の中小企業では、「求人を出しても応募が来ない」「来たとしてもすぐ辞めてしまう」といった課題に悩む社長が増えています。
この記事では、地方の中小企業がこの変化にどう対応すべきか、そして「今の時代に求められる採用メッセージ」をどう作ればいいのかを詳しく解説します。採用活動を成功させたいと思う社長の皆さまに、実践的なヒントをお届けします。
従来型の採用メッセージの課題
地方企業の多くは、これまでの採用活動で「給料や福利厚生」をアピールしてきました。しかし、残念ながら、この方法だけでは求職者に響かなくなっていますし、実質的に給料を上げづらくなり、福利厚生の充実も図りにくいのが中小企業の現実です。
なぜ給料・福利厚生だけではダメなのか？
現代の求職者、とくに若手世代は、「この会社で働くことでどんな未来が待っているのか」を知りたがっています。給料はもちろん大事ですが、それ以上に「職場環境」や「会社の価値観」「成長できるかどうか」を重視しているのです。
つまり、給与・福利厚生は会社の魅力の一部であって、求人票が注目される要素にはなりますが、「あなたの会社で働きたい！」と思ってもらえる決定打にはなりにくい、ということです。
具体例: 求職者に埋もれる求人票
例えば、ハローワークや求人サイトに掲載された求人情報を見てみてください。同じような給料や休日数を並べた求人が数多く並んでいます。これでは、どの会社も差別化できず、求職者の目に留まらないのです。
求職者が知りたいのは「他者との違い」や「あなたの会社で働くことで、自分の生活・人生がどう変わるか」です。業界水準の給与と休日は最低限守るラインとして、求職者目線での「魅力」が示されていなければしっかり読んでもらえる可能性は限りなく低くなります。
今の求職者が本当に求めているもの
では、現代の求職者が本当に求めているのは何なのでしょうか？ここでは、求職者が重視しているポイントを3つご紹介します。
職場の人間関係が良いか
働きやすい職場環境は、今や必須条件です。「安心して仕事ができる」「人間関係がギスギスしていない」ことが、求職者にとって大きな魅力になります。職場の仲間と協力しながら働ける環境が、長く勤める理由になります。
退職理由を調査したアンケート結果などにも現れていますが、約5割の方が人間関係を理由に退職しています。しかも、人間関係が悪いことを会社に伝えずに。（引用：『エンゲージ』ユーザーアンケートより）
人間関係を理由に退職された方は、次の職場の人間関係を気にされるのは当然ですが、求人票や採用サイトに「アットホームな職場です」などと書かれていても、信用できないのです。
人間関係の良さを”具体的に”アピールする材料（写真、動画、エピソード）を日頃より集めておきたいですね。
また、職場の人間関係に課題を抱えているのであれば、採用の前に企業風土の改善が絶対的に必要になります。それが、現在働いてくれている従業員への誠意であり、これから採用する従業員への準備です。
会社が自分の生活や人生を支えてくれるか
地方で働く若者にとって、「家庭を大切にしたい」「趣味や自由な時間を確保したい」という希望は切実です。これに応えられる会社は、それだけで強い競争力を持つことができます。
残業が多い・残業が続いている、という理由で退職を考える若者は6割に及ぶとの調査結果もあります。（引用：若手社員の６割が残業の多さで転職を検討）
今すぐに残業を減らせない企業も多いでしょう。ただし、残業を減らすために具体的にどのような努力を続けていて、どのような成果に結びついているのかを示し続けることは大切です。「努力しています」の言葉は、具体性と根拠がなければ信じてもらうことが難しいのです。
成長ややりがいを感じられるか
仕事を通じてスキルアップができる環境、または自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できる環境を、求職者は求めています。単なる「作業」ではなく、やりがいのある仕事が支持されます。
「何にやりがいを感じるか」は非常に多様化しています。
会社側から「これをやりがいとして欲しい！」といった設計がうまくいくパターンもありますが、基本的には、個別にやりがいや得意・好きを調査し、そのようなひとりひとりの思いが反映される形でマネジメントを実行できる企業は採用にも強いのです。
働く人のほどんどが、ある程度同じ価値観を持っている昭和の時代から、もう40年ちかく経ちます。世の中の価値観の変化と、貴社の採用手法をすり合わせていくタイミングに来ています。
求職者目線に立った採用メッセージの作り方
求職者目線に立つ採用メッセージは、ただの求人情報とは一線を画します。これまでの「条件や待遇を列挙するだけの求人票」では、求職者の心を動かすことは難しくなっています。
現代の求職者が本当に知りたいのは、「この会社で働くことで、どんな未来が待っているのか」「自分の人生や価値観とこの会社は合うのか」という点です。そこで、具体的にどのようなメッセージを作るべきか、その方法を解説します。
ステップ1: 採用ターゲットを明確にする
まずは「どんな人に来てほしいのか」を具体的に考えることが重要です。「若くて元気な人」ではなく、「地元で家庭を大切にしながら働きたい30代の女性」「スキルアップを目指す20代の技術者」といったように、具体的な人物像を描いてみましょう。
ターゲットを具体的にすればするほど、ターゲットに向けて発信するメッセージが洗練されます。逆に考えれば、洗練されていないメッセージは誰にも刺さらないと言えますね。
ポイント:
- 年齢層や性別、生活スタイルを明確にする。
- その人たちがどんな働き方を望んでいるかを考える。
ステップ2: 自社の魅力を言語化する
次に、自社の魅力を掘り下げて考えましょう。これには、社員が実際に感じている「良いところ」をヒアリングするのがおすすめです。たとえば、「アットホームな職場」「地元密着で地域に貢献している」「休日に家族と過ごせる環境」など簡単な言葉で表現せず、より具体的に言語化することが大切です。
具体例:
- 「社長が社員一人ひとりの成長に真剣に向き合い、日頃からポジティブな声がけをしてくれる」
- 「地元のイベントに積極的に参加し、地域とのつながりを大切にしながら社会貢献の機会をたくさん作ってくれる」
ステップ3: 明確で共感を生むメッセージを発信する
最後に、それらの魅力を採用ページや求人票に反映させましょう。「一緒に地元を盛り上げたい」「家族との時間を大切にしながら働きたい」という共感を生むメッセージを作ることがポイントです。
例文:
- 「地元で家庭を大切にしながら働ける環境を提供します。具体的には〜〜〜〜」
- 「家族との時間を確保しつつ、やりがいのある仕事がここにあります。事例１、事例２〜〜〜」
会社発信のキラキラしたメッセージは、疑いの目で見られます。もし、自社の取り組みで成果が出ていないことや不足していることがあれば、包み隠さず公にし、どのように努力しているのか、どこに向かっているのかを明らかにすることで、「企業の本気」を求職者は感じ取ります。
SNSで会社の魅力を発信する企業が増えていますが、”魅力の裏側” をしってもらう努力こそ、SNS採用が実を結ぶだめの近道です。
成功事例: 採用メッセージ改善で変わった企業
例えば、ある地方の食品加工業では、求人票の内容を大きく見直しました。それまで「給料・休日数」のみを強調していた求人票を、「仕事の意義」や「給与以外の働くメリット」をアピールする内容に変えた結果、応募者数が増加し、定着率も向上しました。
このように、採用メッセージを変えるだけで、大きな成果を得ることができるのです。
給与を上げにくい企業が第一に考えるべき内容は、働く人にとって自社で働くメリットを具体的に言語化することです。これは想像ではなく、実際に働いてくれている従業員さんに聞き取ることで、”生々しいメリット” を拾い上げることになり、求職者に刺さるメッセージづくりの基になります。
経営層と従業員側には意識の乖離があることがほとんどですので、【聞き取り（インタビュー）】は、採用取り組みの中でも特に重要なパートなのです。
まとめ: 今こそ採用メッセージを見直す時
採用市場が変化する中、従来型の採用メッセージでは、地方の中小企業が勝ち抜くのは難しい時代になっています。求職者目線に立ち、自社の魅力を正しく伝える採用メッセージを作ることが成功の鍵です。
「自社の魅力がうまく言語化できない」「どんなメッセージを作ればいいのかわからない」という方は、ぜひ無料相談をご利用ください。私たちは、採用ターゲットの明確化からメッセージ作り、採用ページの構築までお手伝いいたします。一緒に、次世代を担う人材を迎え入れられる企業を作り上げましょう！
